

SANKEN ARCHITECTS 設計コーディネート部門 部長の”若山”です。
2025年8月17日まで、「建築から生まれた椅子展in兵庫」と題しまして世界の名作椅子を展示しています。本展は、あの”織田コレクション”のサテライトイベントですので、貴重な名作揃いです。


今回は、本展示会で展示されている名作椅子より「バタフライスツール」をご紹介します。
Butterfly stool
1956 | Sori Yanagi 柳 宗理
https://www.tendo-mokko.co.jp/products/s-0521rw-st/
今回は、その唯一無二の造形美で、世界中のデザイン愛好家を魅了し続ける「バタフライスツール」についてご紹介します。日本の伝統美とモダニズムが見事に融合したこのスツールは、ただの家具としてだけでなく、空間に静謐な品格と芸術性をもたらす、まさに珠玉の存在です。

Table of Contents
私と”椅子”との出会い
私が椅子という存在に強く心を惹かれるようになったきっかけは、「ザ・チェアー」との出会いでした。テレビでケネディ大統領が座っていた椅子として紹介されていたのを見て、その美しい曲線と木の温もりに思わず見入ってしまいました。調べるうちに、ハンス・J・ウェグナーの職人技や、人に寄り添うデザインへの深い想いに触れ、椅子は単なる家具ではなく、美と機能が共存する芸術作品だと感じるようになりました。
同じように、柳宗理が手がけたバタフライスツールにも、日本人ならではの美意識と繊細な感性が息づいています。

日本人デザイナーが生み出した、奇跡のフォルム
柳宗理の「バタフライ・スツール」は、まるで蝶がそっと羽を広げたような、やさしく美しいかたちが印象的なスツールです。成形合板という技術を使って生まれた、なめらかな曲線と木のぬくもりが、どこかほっとする雰囲気を感じさせてくれます。座面と脚が一体になったデザインは見た目の美しさだけでなく、しっかりとした安定感もあり、暮らしの中で自然に寄り添ってくれる頼もしい存在です。座面の高さが低く設定されており、当時の暮らし方や住まいに丁寧に向き合って作られたことが伝わってきます。使いやすさと美しさをそっと両手に包んだようなスツールは、今の暮らしにもすっと馴染み、日々の風景にやさしい彩りを添えてくれます。長く愛される理由をお客様にそっとお伝えしたくなるような、そんな一脚です。

空間に静かなる存在感を放つ、多様な魅力
バタフライスツールの魅力は、そのデザイン性だけにとどまりません。
まず特筆すべきは、その多様な使い方です。スツールとして座るのはもちろんのこと、サイドテーブルとしてソファの横に置いたり、ベッドサイドにランプや本を置くための台として使ったり、玄関でちょっとした荷物置きにしたりと、様々なシーンで活躍します。場所を取らず、どこに置いても絵になるため、限られたスペースでもその存在感を発揮してくれます。

どんなインテリアにも調和する
素材は主にプライウッド(成形合板)で、メープルやローズウッドといった美しい木目が特徴です。木の温かみと、洗練された曲線が融合することで、和室にも洋室にも自然に溶け込み、空間に上質なアクセントを加えます。モダンな空間にはシャープさを、和の空間には柔らかな趣を添える、不思議な魅力を持っています。
そのミニマルなデザインは、置く場所を選ばず、どんなインテリアスタイルにも調和します。リビングの片隅に置けば、まるで彫刻作品のような佇まいで、空間全体に静かな品格を与えてくれるでしょう。

バタフライスツールは、まさに一生ものの家具です。時が経つにつれて木材の風合いが増し、より深みのある表情を見せてくれます。
もし、ご自宅のインテリアに「日本の美意識が息づくデザイン」や「機能性と芸術性を兼ね備えた逸品」を取り入れたいとお考えであれば、バタフライスツールは最適な選択肢となるでしょう。
ぜひ”建築から生まれた椅子展”で、実際にその美しいフォルムを間近でご覧になり、その魅力をご自身の目で確かめてみてください。バタフライスツールが、あなたの暮らしに静かなる感動と、豊かな彩りをもたらしてくれることを願っています。

本展示では、デザイン評論家・織田憲嗣氏が長年にわたって収集してきた世界の名作椅子を、三建のモデルハウスという”暮らしの場”に溶け込ませることで、「アートとしての椅子」と「日常を豊かにする住まい」の融合をご提案します。
展示されるのは、ミッドセンチュリーを代表する名作から、機能美と造形を兼ね備えた現代の椅子まで。家具としての用途を超え、デザインや思想を語る”アートピース”としての椅子たちが、モデルハウスというリアルな生活空間の中で息づきます。
三建加古川モデルハウス・姫路モデルハウスの2会場で開催。それぞれ異なる椅子を展示します。