SANKEN ARCHITECTS laboratory住宅にまつわる研究レポートとコラム

「窓」はただの開口部じゃない。LIXILが描く住まいのミライとは?【対談企画vol.1】

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「2050 STANDARD HOUSE」をブランドミッションに掲げ、高性能な家づくりに取り組むSANKEN ARCHITECTS。

私たちは播磨地域を牽引すべく日々商品の開発に取り組んでいます。

今回広報チームでは、SANKEN ARCHITECTSで採用している建材を紹介しつつ、住宅業界の性能やミライについてたくさんのメーカー様と連載形式で語り合っていきたいと思います! 

今回は、窓の専門メーカーとして高い技術力を持つLIXILの体感ショールームを訪問。住まいStudio大阪館長の門脇様にご案内いただきながら、広報メンバー・荒巻が、住まいの快適性を左右する窓の性能について体感しました。

体感して実感。「窓」は、住まいの印象も暮らしの質も変える存在

高性能な住まいづくりを追求しているSANKEN ARCHITECTS。

だからこそ、性能の「違い」や「根拠」にも妥協はできません。今回は、窓の専門メーカーとして高い技術力を誇るLIXILの体感型ショールーム「住まいStudio大阪」を訪問し、実際に窓の性能を“体感”してきました。

ご案内いただいたのは、住まいStudio大阪の館長・門脇様。

LIXIL住まいスタジオでは、外気温0度の環境の中、「昔の家」「今の家」「これからの家」といった異なるタイプの住まいを実際に体感できる空間が用意されており、住まいの進化を実感できる貴重な体験ができ、単なる知識ではなく“肌で直接感じる違い”に、広報担当の荒巻も思わず驚きの連続。

今回は、SANKEN ARCHITECTSが標準採用しているLIXILの高性能窓「TW」を軸に、窓がどれほど住まいの快適性に貢献しているかを深掘りしつつ、これからの家づくりに欠かせない「窓の進化」に迫ります。

昔の窓は、寒くて暑くて、うるさかった!?

まず体感したのは、昭和55年基準(1980年)の家・平成28年基準(2016年)の家・そして現在の断熱等級6相当の家を比較できる部屋。

▲左が1980年基準、右が等級6相当の部屋。見た目の違いはないが、温熱環境は大きく違う

1980年基準の家に入った瞬間、ひやっとした外気の寒さを感じる足元。

窓際に近づくと、さらに冷気が伝わってきます。外からの音もクリアに聞こえ、室内との遮断感がまるでありません。一方、断熱等級6相当の空間に入ると、足元も窓際も温度がほぼ一定。まるで魔法瓶の中にいるような快適さです。

この違いの大きな理由は「窓」の性能差。1980年基準の部屋では、アルミ単板ガラスの窓が使用されており、外気温の影響を大きく受けています。現在主流の高性能窓では、樹脂フレーム+トリプルガラスなどを用いることで、熱の出入りを最小限に抑えられるようになっているのです。

SANKENで標準採用しているLIXIL「TW」ってどんな窓?

この体感のあとに紹介されたのが、SANKEN ARCHITECTSでも標準採用している高性能窓「TW」。

体感した窓「TW」は、LIXILが手がける高性能樹脂アルミ複合窓。

  • 樹脂アルミ複合構造フレーム+Low-E複層ガラス

室内外の熱の出入りを抑える高断熱仕様。冬は暖かさを逃がさず、夏は外の熱を遮断。1年中快適な室温を保ち、省エネにもつながります。

  • フレームがスリムで光をたっぷり採りこめる設計

窓枠のフレームを極限までスリム化。ガラス面積が広くなり、自然光がたっぷり差し込む明るい空間を実現するだけでなく、断熱性能も大幅に向上します。デザイン性もアップ。

  • 結露が起きにくく、メンテナンス性も高い

高断熱構造により、冬場に悩まされる結露を大幅に軽減。カビや汚れの発生を抑え、掃除の手間も減らせて住まいを清潔に保てます。

性能面だけでなく、デザインの美しさにも驚きました。 窓辺から差し込む光が、空間全体を柔らかく包み込むような感覚。

TWは、LIXILが持つ窓技術の集大成ともいえる商品。

熱を伝えにくい高性能スリムフレーム、3層のガラス構造(トリプルガラス)、そしてガラスの中空層に封入されたアルゴンガスなど、随所に断熱性能を高める工夫が詰まっています。

さらにすごいのは、TWが“断熱性能だけ”に特化していないという点。開閉のスムーズさやデザイン性にも配慮されており、室内から見たときのスッキリ感や、外観に対する影響の少なさも特徴です。

▲写真キャプション:「TW」はフレームが細く、外観デザインにもなじみやすい

暮らしの中の“窓の役割”

— ただの開口部じゃない、暮らしを守る“住設”としての窓 —

LIXILのショールームを訪ねたとき、担当の門脇さんから聞いた言葉がとても印象的でした。
「窓って、今や“開け閉めするだけの場所”ではないんです。暮らしを守る、住宅設備のひとつなんですよ。」

私たちも高性能住宅をご提案する中で、窓が果たす多様な役割に着目してきましたが、ショールームではその機能が具体的に体感できる形で示されており、「やっぱり窓ってすごい」と、再確認できる体験でした。門脇さんから伺った視点のひとつひとつが、私たちの考えと重なり合い、大きな納得感を得られました。

①断熱・遮熱・防音などの“環境制御”装置としての窓

まず特に印象に残ったのは、窓が“環境制御装置”として、住まいの快適性に大きな影響を与えているということ。断熱・遮熱・防音の性能が揃った窓は、まるで住まいを包み込む魔法瓶のような役割を果たします。

断熱性能が高いことで、冬は暖かさを保ち、夏は暑さを遮断。室内の温度を安定させることで、冷暖房効率も向上し、省エネにも直結します。

また、防音性能も非常に重要です。外の騒音を防ぐだけでなく、室内の音漏れも抑えることで、家族のプライバシーや快適性を守る。こうした機能が揃ってこそ、“本当に快適な家”が実現できると私たちも日々感じています。

ショールームでは、樹脂とアルミ複合フレーム+トリプルガラスという高性能仕様を実際に目にし、これまで私たちが大切にしてきた考え方に確かな裏付けがあると感じました。門脇さんからも「こういう性能が当たり前になるといいですよね」と伺い、まさに共通の理想だと感じました。

②住まいの快適性と省エネ性を左右する“健康デバイス”としての窓

もうひとつ驚いたのが、「窓が健康と密接に関わっている」という話。

「断熱性能の高い窓が、ヒートショックのリスクを減らしてくれるんですよ」と門脇さん。
たしかに、寒暖差が小さい家は、体への負担も少なく、年齢問わず安心して暮らせます。

加えて、防音性能が整った住まいでは、音によるストレスが減り、眠りの質も上がるとか。
実際に騒音を遮る体感展示もあって、その“静けさ”には驚かされました。

さらに、省エネ性能の高さは、快適な暮らしと家計の負担軽減を両立させるカギ。冷暖房の効率が良くなり、結果として光熱費を抑えることができます。これは、長く住むほどに価値を感じられるポイントです。

私たちが考える“健康に配慮した住まい”と、LIXILが提案する窓のあり方は、まさに同じ方向を向いていると感じました。

③暮らしの質を左右する「住宅設備」としての窓

こうしてLIXILのショールームで話を聞いたり、実際に触れたりして気づいたのは、
「 快適な暮らしを支えるために、窓ができることは本当にたくさんある」ということでした。

  • 室内の温度を保ち、省エネにつなげる
  • 外の騒音を遮断し、静かな暮らしを守る
  • 紫外線をカットして家財や肌を守る
  • 結露を防いで、カビやダニの発生を抑える

これまで何気なく「光を入れる場所」くらいにしか見られにくい窓。
“快適な暮らしを支えるためのデバイス”として、これからの家づくりに欠かせない存在です。

LIXILのショールームで得た学びは、私たちが日々取り組んでいる高性能住宅の価値を、より深く実感させてくれるものでした。

門脇さんのお話を通して、こうした価値を言語化し、お客さまにどう届けていくかのヒントも得られたように思います。

これからも、「暮らしを守るために、窓ができること」に注目しながら、よりよい住まいづくりをお届けしていきたいと思います。

暮らしと自然をつなぐ“GREEN WINDOW”という発想

LIXILが提唱する「GREEN WINDOW」は、環境負荷を低減する地域に最適な窓の総称。

地域ごとの気候特性に合わせ、断熱性能や日射熱取得による省エネルギー効果と、リサイクル性を含む資源循環を考慮し、製品のライフサイクル全体でCO₂排出量の削減を図るという考え方が根底にある。

LIXILは自然とのつながりを重視しながらも、快適な室内環境を実現する技術を多角的に追求している。

具体例としては、遮熱性能を持ちながら柔らかな木漏れ日を取り込む光のコントロール技術や、風通しを確保しつつ虫や騒音を抑える工夫、さらに屋外の植栽と室内のグリーンを視覚的に結びつける“窓辺の景色設計”が挙げられる。

このような取り組みは、「自然と調和しながら暮らす」という価値観を反映したものであり、従来の高断熱窓がエネルギー効率を重視し室内環境を閉じる方向へ進化してきたのに対し、「GREEN WINDOW」は“開く”という視点を取り入れることで、自然を暮らしの一部として積極的に取り込むことを目指している。

LIXILは設計者や住まい手とこの考え方を共有し、性能と感性の両立を図る窓づくりを推進中だ。快適さや省エネ性能だけでなく、心地よさや季節感といった情緒的価値にも配慮した「GREEN WINDOW」は、これからの住まいづくりにおける新たな環境基準として注目されそうだ。

LIXILの取り組み

LIXILでは、家づくりを通じて社会や地球環境に貢献するためのさまざまなプロジェクトを推進しています。

  • 気候変動の影響を受けるこどもたちのために「住まいから未来へつなぐプロジェクト」
  • 「GREEN WINDOW」という自然との共生を目指す発想
  • リサイクル率の向上と、樹脂サッシの再資源化技術の開発

SANKEN ARCHITECTSも、このLIXILの姿勢に深く共感・賛同しています。

家づくりは、未来をつくる活動。私たちは、パートナー企業とともに、より良い社会と環境を目指す家づくりを続けていきます。

窓を変えれば、暮らしが変わる

「窓の性能で暮らしは全然違うんですよ」と門脇様。

SANKEN ARCHITECTSが標準採用しているLIXIL「TW」、その快適さの理由がよくわかりました。

暮らしの質って、こういうところから生まれるんだなと感じた、良い時間でした。

今後も「2050STANDARD HOUSE」をミッションに掲げるSANKEN ARCHITECTSが、家づくりのミライを担う建材や技術について、各メーカー様と一緒に深掘りしながらご紹介していきます!

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