TOPICS暮らしにまつわる三建の取り組み

TOPICS 暮らしにまつわる三建の取り組み

date_range2025.2.07

愛するものと暮らしていく~住まいと車の文化が織りなす、未来への視点~

現代の私たちの生活に欠かせない「住まい」と「車」。

どちらも暮らしの質を高める存在でありながら、その進化の過程は大きく異なります。

人類の歴史において、住まいづくりの文化は圧倒的に古い起源を持ちますが、20世紀以降の技術革新のスピードでは、むしろ自動車産業の方が大きく先を行くことになりました。

なぜ、このような差が生まれたのでしょうか。

今回、三建は姫路の車を扱うディーラーとコラボレーションし、「住まいとクルマの博覧会」を開催。

自動車文化を最もよく知る一人として、カーグラフィック代表の加藤哲也氏を迎え、三建の副社長・中澤とともに、「愛するものと暮らしていく」をテーマに、自動車と住まいそれぞれの文化が織りなす未来についてトークセッションを行いました。


F1から名経営者まで、自動車文化を追い続けた男

大学卒業後、テレビ番組制作会社でADを務めた加藤哲也氏は、26歳で出版社・二玄社に入社します。

自動車専門誌『カーグラフィック』に配属され、2000年に同誌編集長に就任。

2010年、二玄社からカーグラフィックの発行を引き継ぐ形で株式会社カーグラフィックを設立し、代表取締役社長として日本の自動車ジャーナリズムを牽引しています。


そんな加藤氏が、自身のキャリアの中で最も印象に残る経験として語ったのは、一台の特別なマシンとの出会いでした。


加藤氏「95年型フェラーリF1を、96年に運転することができたんです。フォーミュラ1といえば世界で一番速い車で、その中でも頂点のフェラーリ。昨年までレースで戦っていた車を、サーキットで運転することができた。これが僕のキャリアのハイライトの一つです」


加藤氏がもう一つの印象的な経験として話してくださったのは、フォルクスワーゲングループの会長を務めたフェルディナント・ピエヒ氏へのインタビュー。

ポルシェの創業者の孫であり、アウディを地方ブランドからプレミアムブランドへと進化させた伝説の経営者です。


加藤氏「ピエヒ氏に単独でインタビューできたのは、日本の雑誌で僕だけ。彼は極度のマスコミ嫌いで有名だったのですが、なぜかご指名をいただくことができました。取材をして感じたのは、彼の根本にある自動車に対する愛情。冷徹なビジネスマンとして評価が高いにもかかわらず、自動車に対して非常にリスペクトがあるのを感じました」


初めての愛車から始まった、車との深い関係


その後お聞きしたのは、加藤氏の愛車遍歴。

加藤氏が18歳で最初に手に入れた車は、新車から10年以上経過した中古のトヨタ・コロナマークⅡ。その時の喜びをこう語ります。


加藤氏「当時は車種がどうというよりも、自分の手で運転できる喜びが大きかったです。自転車の補助輪が初めて取れた時の、移動範囲が飛躍的に高まり、自分で操縦できた喜びに似ていると感じました」


その後、カーグラフィックの巻末広告で運命的な出会いを果たしたのが、アルファ・ロメオ・アルファスッド・スプリント。フォルクスワーゲンのゴルフと同じジョルジェット・ジウジアーロのデザインで、当時の前輪駆動車の常識を覆した革新的な一台に、加藤氏は即座に心を奪われました。


加藤氏「どうしても欲しくなり、所有していた車を即刻売って、母親からお金を借りて、この車へ乗り換えました。パワーはないのにもかかわらず、走る・曲がる・止まる性能はピカイチ。日本とヨーロッパ先進国の車の差というのを、まさに体験した瞬間でした」


100年に一度の転換期、自動車と住宅が目指す未来


自動車への愛着を語る一方で、加藤氏は現代の自動車産業が直面する課題についても言及しました。

加藤氏「自動車業界は、100年に一度と言われる大変革期を迎えています。日本はEV化で後れを取っているという指摘もありますが、実際に過去20年間で自動車のCO2排出量をこれほど落としている国は日本以外になく、私自身もハイブリッド車が一番の現実解だと思っています。プリウスが出た頃は病院食のようで味気ないと思っていたのですが、技術の進化とともに決して薄味ではなくなってきている。水素やハイブリッドなどあらゆるパワーユニットに対応していく戦略も正解だと思います」


一方、住宅業界も大きな転換点を迎えています。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、家の断熱性能、つまり暖かさや涼しさを逃がさない性能の向上が急務となっています。日本では2025年4月から、この性能基準が法律で義務付けられ、さらに2030年にはより高い基準への引き上げが予定されていますが、欧米の住宅性能と比べるとまだまだ開きがあるのが現状です。


中澤「断熱性能において、今の日本の最高等級である断熱等級7は、実は欧米ではすでにスタンダードとなっています。つまり、日本の住宅の標準レベルは、欧米の標準からかなり遅れているというのが現状なんです。三建では、この現状を変えていくため、欧米の先進国と同等以上の性能を持つ住まいづくりを目指しています」


三建が掲げる『2050 STANDARD HOUSE』は、その具体的な取り組みの一つです。2050年レベルの住まいづくりを先取りし、今の最高等級である断熱等級7をさらに上回るUA値0.20以下というプロダクトを商品化しました。
中澤「高い断熱性能がもたらすものは、環境への配慮や光熱費の削減だけではありません。そこに暮らす人の健康や美を実現する大きな可能性を秘めているんです。慶應義塾大学伊香賀名誉教授の研究によると、実際に断熱性能の高い住宅では健康改善率が高く、要介護期間が約3年短くなるというデータも出ています。これこそが、高性能な住まいがもたらす本当の価値だと考えています」



愛される存在であるために──文化を育む三つの要素


自動車産業において、日本は生産技術では世界のトップクラスに位置しています。

しかし加藤氏は、「文化」という観点ではまだ欧米に及ばないと指摘。その上で、真に愛される存在となるために必要な要素を語りました。


加藤氏「車に求められるのは『ときめき・安らぎ・強烈に欲しくなる魅力』この三つの要素です。もちろん環境性能や安全性は大前提として必要ですが、この三つがあってこそ、本当の意味で愛される存在になれるんです」


この言葉は、私たち三建が目指す住まいづくりの本質そのものです。

住まいもまた、暮らす人の心にときめきを呼び起こし、確かな安らぎを提供し、そして長く愛し続けたいと感じられる存在であるべきだと考えています。


断熱性能をはじめとする確かな技術は、その土台となるもの。

そこに暮らす人々の幸せを第一に考え、世代を超えて受け継がれていく住まいを創っていく。

それこそが、三建の考える「愛するものと暮らしていく」という価値の実現なのです。

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