【高断熱は熱い!?】パッシブ設計とは何か?|性能より先に考えるべき設計技術。
2026-1-24
Table of Contents
1. パッシブ設計とは「太陽熱のコントロール」

パッシブ設計をひと言でいうと、「太陽の熱を自然のままにコントロールする設計」のことです。 「高気密・高断熱」の家は、例えるなら高性能な「魔法瓶」のようなもの。一度温まると冷めにくく、一度冷えると温まりにくいのが特徴です。
- 冬場: 取り込んだ熱を逃がさないので快適。
- 夏場: 外からの熱を入れすぎてしまうと、家の中が熱いまま保たれてしまう。
だからこそ、魔法瓶の性能を活かすためには、「いつ、どれだけ熱を入れるか」という設計技術が不可欠なのです。
2. 「日射取得」と「日射遮蔽」の使い分け

パッシブ設計には、季節に合わせた2つの相反する対策があります。
- 冬の対策:日射取得(にっしゃしゅとく) 冬は太陽の角度が低いため、窓から光が奥まで差し込みます。この熱をあえて取り込むことで、暖房費を抑えながら家を暖かく保ちます。
- 夏の対策:日射遮蔽(にっしゃしゃへい) 夏は太陽の角度が高く、真上から照りつけます。この強い熱を家の中に入れない工夫が、夏を涼しく過ごす最大のポイントです。「パッシブは冬より夏場対策の方が大事」。
3. 具体的な工夫:軒と窓の配置
太陽の動きを理解すれば、設計で熱をコントロールできます。
- 「軒(のき)」や「ひさし」の魔法 夏は高い角度からの直射日光を遮り、冬は低い角度からの光を通す。日本古来の知恵である「軒」は、実は最強のパッシブデバイスです。
- 「西日」への警戒 西日は非常にエネルギーが強く、家を暑くする原因になります。南側に大きな窓を作るのは良いですが、西側はあえて壁にしたり、窓を小さくしたりするなどの対策が有効です。
- 敷地の個性を読む 「南向きだからOK」ではありません。隣の家との距離や影の落ち方を計算し、吹き抜けの窓を活用するなど、その土地に合わせた「光の入れ方」を考えるのがプロの仕事です。
4. なぜ「注文住宅」でパッシブ設計が重要なのか?

パッシブ設計には「正解の型」がありません。その土地、その周囲の環境、そして住む人の暮らし方によって1棟ごとに最適解が異なるからです。
規格化された分譲住宅や、数値(Ua値など)だけを追い求める会社では、この「手間のかかる設計」がおざなりになりがちです。
まとめ:四季をコントロールする住まい
断熱・気密・換気といった「性能」は、あくまで快適な家づくりのベース(箱)です。そこにパッシブ設計という「自然の力を操る知恵」を加えることで、初めて「夏は涼しく、冬は暖かい、そして光熱費も抑えられる家」が完成します。